漢検1級の四字熟語の勉強法

四字熟語 -漢検1級合格のための勉強法-

まずは四字熟語から

漢検1級の合格の秘訣はズバリ!どれだけ過去問と真剣に向き合ったかと、四字熟語の勉強にどれだけ重きを置いたか。この2点が、合否を分けるほどに重要だといっても過言ではありません。

 

過去問との向き合い方についてはステップ3で説明しますので、ここでは漢検1級の勉強法1〜6の最初のステップ「四字熟語」の勉強の進め方について説明していきます。

 

四字熟語からはじめる理由

漢検1級の勉強のコツ

  • ストーリー性があるので、楽しみながら覚えやすい
  • 他分野でも出題される漢字が多く使われている
  • 四字熟語だけで、覚えるべき漢字の半分をカバーできる
  • 実は1,000個もない(868個でOK)
    ⇒「之」が入るものは省いてOK(一丘之貉など)
    ⇒上下逆なだけのものは1カウント(人口膾炙など)

四字熟語に含まれる漢字は、読み、書き、対義語・類義語、故事・成語・諺、文章問題など、あらゆる分野の問いからも出される、いわば頻出漢字のオンパレードです。四字熟語をマスターする費用対効果は極めて高いので、真っ先に取り組まない理由がないですよね!

私が勉強した1級配当漢字は1,770個、四字熟語は結果的に868個です。
漢検1級の対象となる配当漢字は約3,000字(下の級も合わせると約6,000字)ありますが、当サイトでは四字熟語の項に限らず、あくまでも「漢検1級に合格するために必要な、学習すべき漢字」に絞っての勉強法を指南しているサイトです。
勉強する漢字の範囲の絞り込み方は、次のステップ「3.過去問の分析と絞り込み」も併せてご覧ください。

 

四字熟語の勉強手順

漢検1級の四字熟語の勉強の手順は、大きく分けて4つです。

1級配当の四字熟語をあぶり出す
  • 四字熟語辞典の1級配当のみ丸で囲み、説明を読む
  • 「之」が含まれるものは省く
  • 上下逆なだけのものは片方だけに(膾炙人口・人口膾炙など)
関連のある四字熟語は一緒に学ぶ
  • 同じ漢字を使うもの、対義語・類義語は一緒に勉強する
  • 使われる1級配当漢字の読みや熟語もノートに書く
  • 漢字辞典のページ数と勉強した日付を記入しておく
勉強途中のときの日々の復習
  • 前回勉強した四字熟語をチラッと見る
  • 読みを見て、漢字で書けるか試してみる
  • 思い出せなくてもOK!正答を書いて日々の復習はおしまい
すべての四字熟語が終わってからの復習
  • 全四字熟語の読み⇒書きを、1〜1.5ヶ月ペースでチェック
  • すべての四字熟語のうち、ミスが50〜100個程度ならOK
  • 直前期にはミスが50個以内になるよう、弱点は強化する

 

以上4つのステップの具体的な勉強方法を、上から順に説明していきます。

 

使う物

漢検の四字熟語辞典 漢検の漢字辞典ジャポニカ漢字練習 200字


ジャポニカじゃなくてもいいんですが、漢字の勉強には、小学生が使うような縦書き150〜200字の漢字練習帳がおすすめです!さすが漢字を書くために長年研究されているだけあって、書き心地が良く目にも優しい紙質で疲れにくいです。
そして何より一番のポイントは、「読み仮名記入欄」があることです!

 

四字熟語辞典で、1級配当だけをあぶり出す

 

まずは四字熟語辞典の「1級」のマークが付いているものだけを、鉛筆などで丸く囲んでいきます。このときに意味や補説、注意書きなども読みます。

 

「膾炙人口」「人口膾炙」など上下逆になっているだけのものや「右顧左眄」「左顧右眄」、「禹行舜趨」「禹歩舜趨」のように、ほぼ同じものはまとめて1つでカウントし、メインの四字熟語の方だけに丸を付け、省エネ化します。

 

四字熟語辞典の使い方1

 

今後長いお付き合いとなるこの四字熟語辞典から、1級配当の四字熟語だけをパッと見つけやすくするための作業です。この段階ではまだノートに書いたり、覚えようとしたりはしません。四字熟語と意味を一読しておくだけで大丈夫です。

 

丸を付けるのは1級のみで、準1級のものは含めません。
また1級であっても、「之」が含まれるものも除きます。理由はこちら↓

 

「四字熟語過去問分析表」から見る、最近の出題傾向

参考サイト様:日本漢字能力検定1級〜漢字検定1級取得への道のり

 

上記サイトのページ中ほどにある「四字熟語過去問分析表」には、平成6年から最新回までの四字熟語の出題傾向が、細かくデータ化されて記載されています。

 

一部引用させていただきますと、ここ最近の四字熟語の問いの傾向では、10問中8〜9問が1級配当からであり、あとの1〜2問は級もバラバラでまったく予測不可能です。ならば準1級を含めて勉強することは、非常に効率が悪いことがわかります。

 

また「一丘之貉」のように「之」という漢字が入る四字熟語は、ほとんど出題されていません。1級配当でこの「之」が含まれるものだけでも約100個の四字熟語がありますから、出される可能性が極めて低いのなら、こちらも同様、時間と労力を割いて勉強する必要はないと言えます。

 

すべての1級配当四字熟語に丸が付けられたら終わりです。出来ればこの丸で囲んだものを、意味や補説も一緒にもう1周だけ読むと、この後の勉強がより捗ります。

 

熟語の上下が逆になっているだけのもの、一字違いでほぼ同じ意味のものなどはまとめて、更に「之」を省くと、結果的に1級配当で勉強する四字熟語は868個になりました。1,000個はあると思っていたものが、けっこう減りましたね!

 

ジャポニカに書く、関連のある四字熟語は一緒に学ぶ

 

四字熟語辞典の使い方2 四字熟語辞典の使い方3

 

それでは、四字熟語辞典の最初の1級配当である「哀鳴啾啾」から始めましょう!

  1. 哀鳴啾啾…検定級「1級」マークのある四字熟語が囲んであります。
  2. 693…1級配当漢字「啾」の漢字辞典でのページ数です。
  3. 3/2…勉強した日付です。未記入なら未学習ということが分かります。
  4. 42…「自分ノート」でのページ数を表します。
    ステップ3で説明しますので、まだ気にしなくて大丈夫です。

 

手順2-1

ジャポニカなどの漢字練習帳に「哀鳴啾啾」と書き、この中の1級配当漢字「啾」を漢字辞典で調べます。漢字辞典はとても分厚いので、1つの漢字を探すのにも苦労します。なので何度も探さなくていいように、漢字辞典の該当ページ数を四字熟語辞典に書き加えておきます。

 

ほんのチョットしたことですが、これをやるだけで後々の勉強がスムーズにはかどるポイントです。何だったら、あまりにやる気が出ない日なんかは、この漢字辞典のページ数の書き込み作業だけでもやるといいですよ。

 

手順2-2

四字熟語辞典には一度ザッと目を通しているので、「哀鳴啾啾」と書いたときに「啾啾って他でも見た気がするなぁ」と気が付くかもしれません。(気が付かなくてもいいですよ)そして「鬼哭啾啾」がすぐに出れば、続けて一緒にノートに書いて学習してしまいましょう。

 

ちなみに四字熟語辞典には巻頭に「下二文字から引く索引」というものがあり、たとえば「哀鳴啾啾」や「鬼哭啾啾」なら「啾啾」の部分からも探せます。「あったような気がしたけどパッと見つからない」時は、深追いせずに次に進みましょう。

 

手順2-3

「啾」「哭」の読みや熟語をノートに書きます。この時、漢字辞典に載っているすべての熟語を書いたりせず(十個以上も熟語がある場合が)なんとなく数個選んで書くとか、自由にやって下さい。私は「下つき」の熟語も無視しました。

 

あくまでこの段階はまだ「ウォーミングアップがてらの四字熟語」です。ちゃんとノートにまとめたり繋げたりするのは次のステップでやりますので、準備運動だと思って気楽にいきましょう。

 

四字熟語や熟語、漢字を書くのは一度だけ。意味は読むだけです。
ここで覚えようと力まないで大丈夫です。
↓こんな風に、ぜひツッコミながら楽しんで学んで下さいね。

 

四字熟語はツッコミながら学びましょう!

コツとポイント

 

  • 「へぇ〜、この言葉ってこんな漢字だったんだ〜」
  • 「なんでも漢字で書けちゃうんだな、オイ!」
  • 「このシチュエーションを伝えるためだけの四字熟語、本当に要るか!?」(←ドラえもんの道具でもありますよね)

 

四字熟語をつなげるコツ

たとえば「晏嬰狐裘」から「狐裘」つながりで「狐裘羔袖」へ。「狐裘羔袖」の類義語「白璧微瑕」から「瑕」を使う熟語「瑕釁」⇒「三釁三浴」「三薫三沐」…などなど。違うパターンでは「晏嬰狐裘」の「晏」⇒「晏駕」⇒「宮車晏駕」へ行くも良しです。

 

このように、とにかくどんな方向でもいいので、つながりを見つけることがポイントです。一つの四字熟語から始まってドンドン言葉がつながっていくので、頭も手も忙しく「あーダルい、次は何だっけ」みたいな感情はあまり湧いてこないと思います。

 

四字熟語辞典の使い方3

※対義語や類義語に載っている1級配当漢字を含む四字熟語でも、四字熟語辞典の見出しに載っていないものは学習しません。
丸で囲んだものだけを潰していきます。


 

手順2-4

勉強した日付も四字熟語辞典に書いておき、学習済みか未学習かが分かるようにしておきます。

 

漢字練習帳200字なら、大体1ページに20個前後の四字熟語が勉強できると思います。1日にどれぐらいやるとかは敢えて決めないで、つながりが途絶えたら、ある程度区切りがついたら、疲れたらここまで、という風にマイペースにやっていきましょう。

 

日々の復習は軽く一度だけ

 

次の日また新たに四字熟語の学習を始める前に、軽く復習しておきましょう。
前回書いたノートの四字熟語をサッと見返してから、漢字で書けるかどうか試してみます。先にチラリと目に入れてからなので、半数以上書けるのではないでしょうか。

 

これをまったく見もせずにだと全然書けなくて落ち込むと思うので、必ず一瞥してからにして下さいね。それでももしあまり書けなかったり間違ったりしたとしても、気にしません。正答を見て書くだけ。

 

四字熟語がまだ全部学習しきれていない段階での、日々の復習はこれだけです。
昨日やったところをチラリと見てから書いてみる。間違ってても無問題!

 

すべての四字熟語を勉強し終えたら、全復習

 

すべての1級配当漢字(之を除く)を勉強し終えたら、読み⇒書きが出来るかチェックしてみましょう。1〜1.5〜2ヶ月に1回ぐらいのペースで確認します。

 

全部で800個以上ありますから、100個以上間違う時もあるかもしれません。終盤では間違いやすい四字熟語は重点的に復習するようにし、本番直前の最終段階でも、頻出の四字熟語がクリアできていて、全体でのミスが50個ぐらいの質であれば、安心して良いレベルかと思います。

 

全復習の際は、すべての四字熟語を書いて確かめる必要はなく、頭にパッと浮かべば大丈夫ですし、なんとなく書けるか怪しいなと思った時、その漢字だけを書いてみるなどして、なるべく時短できるよう心がけましょう。なにせ量が多いので。

 

漢検1級配当の四字熟語一覧リスト

ここまで長い文章を飽きずに読んでいただき、ありがとうございます。感謝の気持ちを込めて、私が使っていた自作の「漢検1級配当の四字熟語一覧リスト868個」を、エクセルデータで差し上げます。ダウンロードしてお使いください。

 

「漢検1級配当の四字熟語一覧リスト868個」ダウンロードはこちら

 

四字熟語の順番は勉強した順(つまりバラバラ)だったり、許容漢字での書き換えなどもしてしまっているので、もしかしたら使いにくいかもしれません。(一応「あいうえお順」のシートも付けてあります)ご自分なりにアレンジしてお使い下さいませ。

 

ちなみに「雲雨巫山」「折花攀柳」「桃花癸水」は除いております。
なんとなく、試験に出されるとは思わなかったからです。